朝日新聞


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:2014/03/20(木)05:29:53 ID:
★天声人語

聞いてみるものだ。やきそばなどで有名になった「B―1(ビーワン)グランプリ」は、
いわゆるB級グルメが集う催しというと間違いになるという。
B―1のBは地域ブランドのB。「ご当地グルメでまちおこしの祭典」という位置づけだ

▼たしかに以前は「B級ご当地グルメの」と称していたが、
いきさつがあってB級をはずした。くわしい説明は祭典の公式サイトにある。
主催団体の「愛B(アイビー)リーグ」事務局に電話をしたら教えられた

▼なぜ電話をしたかといえば、愛Bリーグの相談役でグランプリの審査もしている
石毛直道(いしげなおみち)さん(76)がきのう、
南方熊楠(みなかたくまぐす)賞にきまったからだ。
世界的な碩学(せきがく)にちなみ、博物学や民俗学ですぐれた業績をあげた人に贈られる。
石毛さんは文化人類学者で、国立民族学博物館の元館長である

▼世界の食文化をテーマに新しい学問を切り開いた。対象は民衆の食べものだ。
現地で食べなければ絵に描いた餅だと、アジアやアフリカを「鉄の胃袋」で
制覇した。B―1とのかかわりも、むべなるかな

▼酒も大好き。作家で友人の故小松左京さんがつけた
「大食軒酩酊(たいしょくけんめいてい)」の雅号を気に入っている。
日本酒を愛し、日本文化を愛する。
清酒を復権させる活動にも携わる

▼隣人が外国出身の人、それが当たり前になって日本はやっと普通の国になる――。
14年前、参院の憲法調査会での発言を思い出す。

将来の国のかたちについての意見だった。
日本を愛することと世界に開くことの調和を、一身に具現しているような人である。


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